Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission
Livingston, Gill et al.
The Lancet, 2024, Volume 404, Issue 10452, 572 – 628
要約
この論文は、2024年のランセット委員会による認知症予防、介入、ケアに関する報告書であり、認知症の潜在的に修正可能なリスク要因を包括的に分析しています。認知症リスクの約45%が、14の修正可能な要因に関連していると推定されており、これらの要因はライフコース全体で影響を及ぼします。
修正可能なリスク要因として、早期の教育不足、中年期の難聴、高LDLコレステロール、うつ病、外傷性脳損傷、身体活動の不足、喫煙、糖尿病、高血圧、肥満、過度のアルコール摂取、晩年期の社会的孤立、大気汚染、未治療の視力喪失などが特定されています。これらの要因の中でも、難聴、高LDLコレステロール、教育不足、社会的孤立が、認知症リスクへの大きな寄与要因であることが示されています。
これらのリスク要因がライフコース全体でどのように分布しているかが示されており、早期、中期、晩年のリスク要因を区分し、それぞれの寄与度を可視化しています。大気汚染は、認知症リスクを高めることが示されており、特にPM2.5の濃度増加がリスク上昇に関連しています。また、未治療の視力喪失も認知症のリスク要因として新たに特定されました。
介入策としては、生活習慣の改善、認知刺激、薬物療法などが挙げられます。メタ分析の結果、難聴に対する補聴器の使用は認知症リスクを低減する可能性が示唆されています。うつ病は認知症のリスクを高める可能性があり、その影響はライフコース全体に及ぶ可能性があります。外傷性脳損傷も認知症のリスクを高め、特に若い年齢での外傷や男性がより高いリスクを持つことが示唆されています。
さらに、心血管リスク要因の組み合わせが認知症リスクに影響を与え、健康的な生活習慣が認知機能の低下を抑制することが示されています。糖尿病患者においては、特定の糖尿病治療薬(SLGT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬)の使用が認知症リスクを低下させる可能性も示唆されています。
この報告書は、認知症予防戦略の重要性を強調し、個々のリスク要因への介入だけでなく、複数のリスク要因を組み合わせた多面的なアプローチが必要であることを示唆しています。また、社会経済的状況が、認知症のリスク要因に影響を与えることも指摘されており、生活環境や社会的な支援も重要な要素であることが示唆されています.



